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『きみの鳥はうたえる』ネタバレ感想:青のモラトリアム

Netflixを開くとトップページに出てきた『きみの鳥はうたえる』。
出演者には柄本佑さん、染谷将太さんと、筆者はまだ見たことの無かった妙に色気を放っている女性、石橋静河さん。
柄本佑さんと染谷将太さんが出ているだけで、
「悪い映画な訳ないよな」と思ってとても気になっていた映画でした。

実際に見て感じたのは、本当に見てよかったなと。
そして、石橋静河さんに関してはまだ知らない役者さんでしたが
この3名だったから成立している映画だなと思わされました。
なんだかモヤモヤする空気感を孕んだまま最後まで進む映画ですが
そんな空気感がとてもクセになる映画でした。

そんな『きみの鳥はうたえる』の感想を
ネタバレもあるかと思いますがお話できたらなと思います。

『きみの鳥はうたえる』概要

あらすじ

函館郊外の書店で働く「僕」と一緒に暮らす失業中の静雄。「僕」と同じ書店で働く佐知子が加わり、3 人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑いあう。だが微妙なバランスのなかで成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感と共にあった。

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この映画は大きな展開があるような物語ではなく
「何が伝えたかったの!」とか「はっきりしてよ!」と
映画を見て思う人も多いのではと思います。
ただ筆者的にはそんな雰囲気の映像がとても大好きだったりします。

制作・出演者

監督:三宅唱
僕 役:柄本佑
静雄 役:染谷将太
佐知子 役:石橋静河

冒頭でもお伝えした通りメインの出演者には
柄本佑さんと、染谷将太さんが起用されています。
日本を代表する個性派俳優のお二人ですから
このお二人目当てに映画を観賞する方も多いのではと思います。

筆者が知らなかった石橋静河さんは、2018年度に大ヒットしたNHK連続テレビ小説の『半分、青い。』に出演されていたようです。
テレビをあまり見ない筆者からすると初めてでしたが
世間的にはもしかして結構有名だったのでしょうか?
いずれにしろ今回の映画を見て素晴らしい女優さんだというのは分かったし
今後の露出は確実に増えてくる女優さんだろうなと思います。

監督は三宅唱さん。
これまた初めて見る監督でしたがとてもいい出会いでした。
こんなにも空間、空気感を映せる方がいるんだなと嬉しい驚きがありました。
Youtubeに、監督のことについて語っているものがありました。

柄本佑さんが話しているこの「立体的」という表現は
空気感を映していることに繋がっているのかもしれません。
音楽についても触れられていますが
本当に音楽と映画の親和性が高いです。
親和性が高いけど、どこかで気持ちよく外しているような感じがありました。
音楽でも映像でもそうゆうのって大事だと思いまして
「ここでこうくるんでしょ?」ってところで少し外してくる
そうすると「あれ?」ってなるんだけどなんか気持ちいいみたいな。
それを映像の空気感の中で操られている感じがとてもしましたね。

『きみの鳥はうたえる』ネタバレ感想

曖昧さ、弱さ

僕と佐知子は常に曖昧な関係で、肉体関係を持ってはいるものの彼氏彼女の仲ではない。最初から面倒臭い関係は嫌だって言って始まったことなので、この2人にとっての面倒な関係というのは「付き合う」ということだったのでしょうか。とはいうものの佐知子は時間が進むにつれてその関係性に少し違和感を持ち始めますね。最終的には僕とではなく静雄と付き合うという事も口にしますし、そんな曖昧な関係じゃなく、はっきりとした関係が欲しかったのでしょう。
僕と関係が進む前にはお店の店長とも付き合っていましたね。そして別れ話はしっかりしましたし、やはり曖昧な関係は嫌っていたのでしょうし、もっと言えば構って欲しかったのですかね、

静雄に関しては家族も話に出てきますが、この関係性もなんだかふわっとしている。冒頭、母と会話をしているシーンでの少し笑っているような表情からは全く感情が読めなくて考えることを放棄しているようにも見えました。
母が倒れたと連絡があった時にも心配するわけでもなくただビールを飲んでいました。
本当に興味がなかったのか強がりだったのか。

そんな曖昧さを持ったまま進んでいく日々には3人の弱さが映っているようでした。
自由奔放に生きているように見える3人ですが、ただ現実だったり感情から逃げているだけに見える部分もある。社会からのモラトリアム状態にあるようにも見えました。

そして、そこには青春に似た何かがあって、ただ青春程爽やかなものではなくて、青のモラトリアムという言葉が似合うような空気感がありました。

主人公である僕は、佐知子への想いからずっと逃げ続けていましたね。その想いの周りで物語が進んでいくこの映画には、青のモラトリアムの空気感がずっと映されているようでした。

演技と素と偶然

3人の演技はとても素晴らしいもので、演技だと思わせない空気感、そしてそんな味の薄そうな表現にしっかりと味付けをしてくれる個性的な空気感の両方を持ち合わせているなと思いました。

この写真にも映っているようにすごく自然体で、でもどこか惹かれる。そんな3人の演技がとても素晴らしかったですね。

演技では出ないような会話の間だったり、笑い方、クラブでの遊んでるシーンとかもただ遊んでる姿が映っているだけのはずがすごく引き込まれましたね。

3人の素晴らしい演技と、たまに出る素、そしてそんな撮影のなかで出てくる偶然的な画。これが重なってとてもいい映画になっているのかなと思いました。

まとめ

とにかく私は好きな映画だったので是非見て欲しいなと思います。

なんだか展開なくてつまんないなと思っても最後まで見続けてみて欲しいなと思います。何か心に残るものがあると思うので。
それはモヤモヤかもしれませんが笑